さて勤め先を○○に変えたS子だが
これまでの経緯をご存知無い方はシリーズ1、2をご参照下さい。
なかなか苦戦していました
電話をすると
バカ「どう?」
S子「お客さんも多いし、友達もできたよ!」
バカ「そうじゃ無くて、売上は?」
S子「まあまあ」
バカ「大丈夫なの?○○は競争が激しいだろ!」
S子「女の子が200人くらいいるし、可愛い子ばっかり・・」
こりゃあ苦戦してるな・・
電話の声でわかる
バカ「日本語教室はどう?」
S子「毎日ちゃんと勉強してるよ!」
「少し話せるようになったよ!」
バカ「何か日本語で言ってみてよ」
S子「イラッシャイマセ、S子デス、ヨロシクオネガイシマス」
バカ「へ〜、たいしたもんだ」
S子「でしょ!」
内心ではこりゃあダメだ!
バカ「今晩お客連れて行くから予約入れといて、3人だよ」
S子「本当? ありがとう!」
9時過ぎに行くとS子は嬉しそうに迎えてくれた
店にも慣れたらしくママ、チーママにも可愛がって貰っているようだ
バカ「売上いくらできた?」
S子「12,000元くらい、バカボンの売上ばっかり」
バカ「お客捉まえられないの?」
S子「最近は11時頃まで並べないから・・」
バカ「そうかC組か・・」
こりゃあ対策を考えなくては
取りあえず店長を呼んで話を聞いてみる
バカ「店長、S子どう?」
店長「最初の5日間は可愛いから並んだら即指名が入りました」
バカ「そうなの?」
店長「はい、並んだ瞬間に指名ですよ」
バカ「じゃあ何で売上が取れないの?」
店長「日本語ができないから客が固定客にならないんです」
「それに新人がA組で並べるのは入店から5日間だけです」
「日本語ができれば5日の間に客を捉まえられたと思うんですが・・」
バカ「そうか、予約が取れないから売上にならないんだ・・」
店長「そうなんです、少しでも日本語ができれば取れると思います」
バカ「日本語なんてすぐには無理だよ、どうすれば良い?」
店長「まずA組に入れれば来月は無制限で早い時間から並べます。」
「そうすれば中国語ができる客に指名される確率が高くなります。」
「中国語が出来る客ならかなりの確率で固定客になるでしょう!」
バカ「どうすればA組に入れるの?」
店長「月の売上が20,000元必要です。規則ですから・・」
バカ「今日29日だよね、残り2日で20,000元か・・」
店長「今12,000元くらいですから残り2日で8,000元必要です。」
バカ「このままじゃ無理だね・・」
店長「そうですねえ・・」
バカ「悪いけど正確な数字調べてくれる?」
店長「わかりました」
部屋に戻ると客2人は小姐とノリノリだ
S子は完全に水割りを作ったり雑用係に徹している
日本語ができないからコミュニケーションが取れない
日本語を読めないからデュエット曲を歌う事もできない
こりゃあ厳しいな・・
そこへ店長が来た
店長「あと8,300元です」
バカ「どうすれば一番効率良く8,300元作れる?」
「それと今日はモエ2本開けてマッカランをキープする」
店長「分かりました。すぐ確認して来ます。」
酒により原価率が違うので8,300元を作る為には選ぶ酒がポイントだ
かと言ってローヤル12本キープというわけにもいかない。
店長に任せるしかないのだ
店長「モエのピンク2本、マッカラン2本、ローヤル4本で8,320元です」
バカ「マッカランとロイヤルで6本キープする事になるけど・・」
店長「気にしないで下さい」
「マッカランはバカさんの自分用、ローヤルは接待の時用です」
「お客様を連れて2〜3回来て頂ければすぐに無くなりますよ」
バカ「申し訳無い、ロイヤルは来月中に全部消化するよ」
店長「大丈夫です」
バカ「で合計いくらになるの?」
店長「酒代が9,800元、チャージが3名で900元、合計10,700元です」
バカ「わかった、じゃあそれだけ入れて」
店長「本当にいいんですか?」
バカ「しょーがないでしょ、A組に入らなければ話にならない」
店長「心配無いですよ、彼女はA組に入れば絶対に客を捉まえます」
バカ「そう願うしかないね、毎月こんな事やってられないし・・」
10,700元で8,300元の売り上げというのは破格だ
しかもウイスキーを一度に6本キープ、内4本は最安値のローヤル
店長も随分と気を使ってくれたようだ
この日の酒代は9,800元だったが、今の単価だと11,880元。
3年前は酒の単価が今より2割安かったのだ。
バカ「今日は契約も決まったので派手に行きましょう!」
客2名「モエピン2本も? バカさん大丈夫?」
バカ 「次はもっと儲けさして貰うので心配無く!」
客2名「OK、任しといて!」
という訳でS子は11月の売上20,000元を確保した
翌日S子から電話
S子「私の20,000元の為に昨日は高いお酒入れてくれたんだって?」
バカ「店長から聞いたの?」
S子「バカボンの為にも頑張れって言われた!」
バカ「まあ来月はA組だから無制限に並べるし」
S子「店長にも12月は自分で20,000元作れって言われた」
バカ「A組に入ればS子なら大丈夫、店長もそう言ってたよ!」
S子「ウン、私絶対に頑張って20,000元以上作る」
バカ「頼むよ! 俺も毎月20,000元作るのはきびしいからね」
S子「分かってる!」
S子はほとんど涙声だ
そして12月からS子の快進撃が始まる
A組に入ったS子は大忙しだ
7時半の開店と同時に指名され、客は10時頃に帰る
10時過ぎに再び並んで即指名される
少なくても1日に2回、多い日は1日に3回の指名だ
美人で性格が明るいので、中国語が多少できる客の指名はS子に集中
その内に指名をした客が固定客となり「予約」が入り始める
「予約」なので売上はもちろんS子に計上される
信じられない事に12月15日の時点で売上は20,000元を超えた
これには私も店長も驚いた
迎えた12月24日 店は大忙し
ミニスカサンタのS子は、そこら中の部屋に呼ばれ一向に帰って来ない
同席していたお客が私に気を遣っている
客 「バカさんS子ちゃん戻って来ませんねえ・・」
バカ「気にしなくて良いですよ、毎度の事だから・・」
客 「はあ・・」
シャンパンの気が抜けかかった頃ようやく私の元に戻って来た
S子「ゴメンネ!」
客 「メリークリスマス! カンパ〜イ!」
店からのクリスマスプレゼントを頂き解散
店を出たところで
S子「バカボン、クリスマスプレゼント欲しい?」
バカ「何かくれるの?」
S子「今晩バカボンの家に泊まりに行っても良い?」
知り合って2カ月半、ようやくS子をゲットした
締めてみると12月のS子の売上は46,000元、店で12位
この年の2人だけの忘年会でS子が初めてご馳走してくれた
年が明けて1月
S子の快進撃は更に続く
日本企業の新年会、中国の旧正月前の忘年会やらで店は大盛況
S子の売上は60,000元弱まで上がり店で4位
旧正月にS子は実家に帰らず私と二人で1週間の休みを過ごす
そして旧正月明けの2月
ライバル達が故郷から帰って来ない中でS子の一人勝ち
売上は2月の閑散期にもかかわらず70,000元を突破
○○に勤めて4カ月目のS子は21歳で 嬢王(NO.1) になった
無一文で大都会に来て、友人と同居していた貧乏娘は、半年後に月収50,000元を超えるNO.1 キャバ嬢へと大変身を遂げたのだった!
以後S子は年12カ月の内9カ月以上は自力でNO.1の座を守っている
私は「いつ逃げられても仕方ない」とあきらめている
何せ年の差30、バカボンでは無く加藤茶だ!
ところが、どういう訳か3年以上経つ今も嬢王S子は私から離れない
義理堅く「恩人?」としていまだに感謝してくれてるのだろうか?
S子の胸の内は私には理解できない
S子の件で私が学習した「原石ダイヤを磨くコツ」は
・原石は直観で拾え(考えている間に無くしてしまう)
・原石を拾ったら取りあえず積極的に投資して磨け
・先ずはA組に入れて早い時間帯から並べる環境を作れ
・焦らずに手に入るのを待てば、簡単には無くならないもちろん好きでもない相手にこんな事はできない
但し、「目的達成」のみを考えているジジイに原石は手に入らないだろうし、根気強く磨く事もできないと思う
今回も最後までありがとうございました。
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